「あー、そういえばさっき冬との話が途中だったね」

三人で水分補給をしていると、叔母さんが思い出したように言ってきた。その言葉に浅沼くんが反応する。

「何の話してたんすか?」

「それがねぇ、まさかまさかの冬の恋のお話なのよ」

それを聞いた瞬間、彼はバッと俺の方を向いた。あまりにも速すぎて一歩後退してしまう。その顔に浮かんでいるのは明らかに驚きだ。


「えっ、冬くん恋してんの!? マジで? やべぇ、超びっくりなんだけど」

俺がひいているのにも構わずに、浅沼くんはどんどん近づいてくる。俺は逃げ場を失って壁に寄りかかった。

「まあ、一応は……」

恥ずかしいので目を逸らして答えた。そうでもしなきゃ浅沼くんの圧に潰されてしまいそうだし。


「うわー、どうしよ! なんか初々しいというか可愛いというか、とりあえずやばい!」

「なんだよ、それ。てか、そんなに驚く話でもねえだろ」

「いやいや、俺今ひっくり返りそうなほど驚いてるよ! だってあの冬くんだよ!?」

「どの俺だよ!」

「はいはーい、アンタら声がでかい。お客さんに聞かれちゃうでしょ」

叔母さんの言葉で、ついつい声が大きくなってしまっていたことに気づく。まあ、元凶作ったのは叔母さんだけど。