「で、告白って、相手はどんな子なのよ?」

仕切り直しというように聞いてきた。その質問に少し考え込む。どんな子かと改めて聞かれると答えにくい。


「……小柄で可愛くてよく笑う子、かな」

照れながら答えると、叔母さんはニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべていた。俺はそれに顔をしかめる。


「なんだよ、その気持ち悪いニヤニヤは。そっちが聞いてきたんだろ!」

「あー、ごめんごめん! もう可愛くってさー」

「可愛い言うな。ていうか、別に俺がどんな子好きだろうが叔母さんには関係ねえだろ」

ふん、と顔を逸らす。これ以上は本当に恥ずかしい。そもそも俺は恋バナとかが苦手なのだ。叔母さんはそれをわかった上で言っているんだろうけど。


「えー、そんなことないよ。甥っ子の恋は応援しなくちゃいけないもん」

そう言いつつ顔のニヤニヤは治まっていない。これ絶対楽しんでるだろ。


「いや別にそういうの大丈夫だから」

「それはどうかな? 私はアンタより三十年も長く生きてるんだよ。そんな経験豊富な人が応援するって言ってるんだから、むしろ感謝すべきなんじゃないかい?」

「そんなこと言うなら、まずは自分の結婚相手を見つけろよ」

俺は反撃と言わんばかりに、独身彼氏なしの叔母さんに冷たく言葉を放った。すぐに叔母さんの顔が引き攣る。

「うっ、それは一番言われたくないことなのに……。ま、まあでも私が冬くらいのときはめちゃくちゃモテたし? 彼氏だってたくさんいたし?」

「そんなわかりやすい嘘つくなよ。ていうか、彼氏たくさんとか最低だからな」

「あ、確かに。って、嘘じゃな……」


カランカラン。

言い合っていたところで店のドアが開く音がした。俺たちは反射的に顔をそっちへ向ける。