会社や工場がほとんどないため、すれ違う車も滅多にいない。
この日はいつもの如く、道路工事の人間が荷物を乗せて、私と同じ道をゆったりと走っていた。
赤信号で止まった時、私が自然な動きで先頭を譲ると、助手席の男が煙草を吹かせたままひょいと顔を覗かせてきた。
「兄ちゃん、ドライブか?」
また『兄ちゃん』呼びか、と思いつつ私は信号の待ち時間も短いので、答える。
「週に一回の休みぐらいには、愛車を走らせたいんだ」
「いいねえ。どこへ行くんだい」
「南部を一周。ついでに美味い沖縄そばを食べる。あなたたちは何処へ行くんだ?」
すると男は、にっと歯を見せる。
「南部さ」
彼は、そう言った。
その時、信号がタイミング良く青になった。荷物を乗せたそのバンが、煙を吐き出しながら走り出す。
「キザだなあ」
私そう思ったうえ口に出しながらも、助手席からひらひらと手を振る男が嫌ではなかった。無精髭を生やして肌を小麦色に焼いている姿は、これから工事の仕事をする様を思い浮かべて、ひどく格好いいと思わされる。
この日はいつもの如く、道路工事の人間が荷物を乗せて、私と同じ道をゆったりと走っていた。
赤信号で止まった時、私が自然な動きで先頭を譲ると、助手席の男が煙草を吹かせたままひょいと顔を覗かせてきた。
「兄ちゃん、ドライブか?」
また『兄ちゃん』呼びか、と思いつつ私は信号の待ち時間も短いので、答える。
「週に一回の休みぐらいには、愛車を走らせたいんだ」
「いいねえ。どこへ行くんだい」
「南部を一周。ついでに美味い沖縄そばを食べる。あなたたちは何処へ行くんだ?」
すると男は、にっと歯を見せる。
「南部さ」
彼は、そう言った。
その時、信号がタイミング良く青になった。荷物を乗せたそのバンが、煙を吐き出しながら走り出す。
「キザだなあ」
私そう思ったうえ口に出しながらも、助手席からひらひらと手を振る男が嫌ではなかった。無精髭を生やして肌を小麦色に焼いている姿は、これから工事の仕事をする様を思い浮かべて、ひどく格好いいと思わされる。