一人のバイク旅は不良少年に絡まれて怖いという者もいるが、私はどちらかというと昼間はそんなこともないと思う。都会の真ん中を走るより、田舎や農村の続く海岸沿いのドライブは快適だ。

 この日も、彼ら戸は西原サンエー前の大きな交差点でそんな会話をして別れた。彼らは中部へ向かい、私は南部へ抜けるため与那原から佐敷へと入っていく。

 北部は観光客も多いため「わ」ナンバーの車は、いつも窓が閉め切られて速度もかなり出ている。

 なんだか素っ気なくて、ときたま無謀な進路変更をされるので怖い。

 しかし南部はその風景さえも違っていた。

 走行車の半分は、窓を開けて夏の風に髪や衣服をばたつかせている。

 平日は海岸沿いの走行も少ないため、信号待ちをしていると、話しかけられることも多かった。


 329号線から南城市へ入ってしばらく行くと、Y字の別れ道に行き当たる。

 整備の行き届いた閑散とした大通りが玉城――タマグスクと読む――細くなった中道となっている左に入ると佐敷となる。