ハンドルを少し切れば、私の愛車は滑るように第一車線へと入り、そのまま浦添市方面へと下っていく。

 バックサイドを確認しようと逆方向のサイドミラーを見やると、同じように宙からぶら下がった男の死体が邪魔だった。

 颯爽と快適な走行を続けるRVちゃん――私は愛車をそう呼んでいた。彼はきっと意気投合のできる男の子のはずだが、どうにも後輩のように思えて「ちゃん」をつけるのがしっくりときていたのだ。今も、昔を思い出すと彼、つまりはそのバイクが懐かしくなるよ――の姿は心強い。

 怖いものだって、ぐんぐんと引き離してくれるような気がした。


 私はバイク一つでどこまでも行った。

 週に一度、平日の休日を利用して、その日の気分に応じて北部か南部を目指す。

 決まって海岸沿いを走り抜け、急ぎの車に進路を譲っては快適なドライブを楽しんだ。

 ついでに好物の沖縄そば巡りをし、知らない道をどこまでもRVちゃんと堪能する。