私が分からないモノについて悩み、考えるのは初めてのことだった。
幼い頃に波の上神社の鳥居の向こうにも見え、また時々も別の鳥居の向こうにも見た同じ巨大な神社のありさまが、私の頭の中から離れたことはなかったのだ。
悶々としたまま、私は妹と母の用事に付き合うため車の後部座席に乗った。
車窓から風景をゆっくり眺めることも好きなので、私自身に用事がなくても、当然のようにそうやって付き合うのだ。
ドライブの癖がついてしまったのは、幼少期に商品を配達する父や母に付き合っていたせいもあるだろう。
しかし、なんという巡り合わせか。
母が向かったのは南部だった。私は佐敷から山道へと登って豊見城へ抜ける車の中、内心びくびくとしながら流れる景色を眺めた。
「あっ」
と私が声を上げたのは、母がずいぶんと車を走らせた頃だ。
山の中腹を真っ直ぐ進んでいた私たちの軽自動車が、十字路で車を誘導する警察官に一時停められた時である。
十字路を右に下って降りて行けば、昨日の十字路に出ることを私は知っていた。そして、私の目が釘付けになったのは、私たちがいる信号もない山の十字路から更に左へ入る途中に、高く大きくかけられた青いビニールシートだった。
山の間を道にしたようで、その道は左右を崖に挟まれてじめじめと影を落としていた。
右側に掛けられたビニールシートには、数人の警察官が出入りしている。
「大きな事故があったみたいね」
「白いバンだったらしいよ」
幼い頃に波の上神社の鳥居の向こうにも見え、また時々も別の鳥居の向こうにも見た同じ巨大な神社のありさまが、私の頭の中から離れたことはなかったのだ。
悶々としたまま、私は妹と母の用事に付き合うため車の後部座席に乗った。
車窓から風景をゆっくり眺めることも好きなので、私自身に用事がなくても、当然のようにそうやって付き合うのだ。
ドライブの癖がついてしまったのは、幼少期に商品を配達する父や母に付き合っていたせいもあるだろう。
しかし、なんという巡り合わせか。
母が向かったのは南部だった。私は佐敷から山道へと登って豊見城へ抜ける車の中、内心びくびくとしながら流れる景色を眺めた。
「あっ」
と私が声を上げたのは、母がずいぶんと車を走らせた頃だ。
山の中腹を真っ直ぐ進んでいた私たちの軽自動車が、十字路で車を誘導する警察官に一時停められた時である。
十字路を右に下って降りて行けば、昨日の十字路に出ることを私は知っていた。そして、私の目が釘付けになったのは、私たちがいる信号もない山の十字路から更に左へ入る途中に、高く大きくかけられた青いビニールシートだった。
山の間を道にしたようで、その道は左右を崖に挟まれてじめじめと影を落としていた。
右側に掛けられたビニールシートには、数人の警察官が出入りしている。
「大きな事故があったみたいね」
「白いバンだったらしいよ」