もちろんそれからはバイト、その後の仕事の行き気だってずっとそのビックスクーターだった。

 その相棒のバイクとの印象的な思い出だって語り尽くせないほどあるが、昼だけでなく夜も心強いパートナーだった。

 深夜の走行は、車も少なく快適だ。

 学生時代から那覇市の330号線はすっかり慣れてしまった道になっている。

 そこではいつも浦添市向きへ進路を変えようとサイドミラーを覗き込む。間が悪い時は、コンパクトな鏡に宙から下がった男の首から下が揺れ、後ろを走る数台の車の様子をすっかり遮る。

 そのたび私は「やれやれ」と後ろへ首をひねり、走行車との車間距離を確認する。

 そうして、充分な距離を取ってから車線変更へと移るわけだ。

 バイトからくたくたになって帰る夜、それがまぁとくには珍しくない私の日常の光景の一つではあった。

(ったく、邪魔だなぁ)

 そう思いながら当時も車線変更していた。