道順は、適当でばらばらだ。

 ただ漠然と最後はいつも通り糸満市街から抜けることを考えていた。

 私にとって、南部のドライブコース終点は糸満市街である。

 市街に入るとすっかり見慣れた街並みが続き、決まった道を家へ向けて帰ることになるのだ。

 その途中で頼まれていた食品を購入したり、帰宅後にバイクをもう一度きれいに洗って磨くことを考える。

 帰宅した後のことを考える時点で、私のドライブは終わりとなる。

 もう一度言うが、私は『自分には何もない』と言い聞かせている。いいも悪いも判断ができないのなら、関わるなというのが教えだ。

 たとえバイクのミラーに首吊り死体が映り込もうと、窓にえげつないものが映っていようと、常飲から飛び降りていく見えないものの繰り返しのソレを見ようと――『私には第六感というものなどない』のだと言い聞かせている。

 だから、平気なのだと。

 糸満市へと続くであろう見慣れない道を、あの時、気分のまま勘だけで山に向かって信号を曲がった時もそうだった。