南部には「平和祈念公園」や「御獄」「御願所」も多く存在している。

 観光者向けの琉球王国村を通り過ぎると、慰霊碑を持った記念館などがしばし続く。

 沖縄は、ひどい戦争で多くの島人が犠牲になった。

 南部での怪談も多かったが、昼間という条件と『私は霊感をまったく持っていない』という私の強い自己意識が功を成して、私のドライブはいつものように弾む心地で続いていったというわけだ。

 観光バスが、南部の有名な建物の敷地内に消えて行くのを見たが、相変わらずRVちゃんと進む景色のほうが私の感心を強く引いた。

 とくに、平和祈念公園の辺りは自然が多く残っていたので、空気もよろしいし風も涼しさを覚える。

「気持ちいいなあ」

 そう私が呟くと、相棒のバイクは心なしかエンジンの音を最高のリズムで刻むのだった。

 気分がすこぶる良くなっていた私は、昼食もとっていないにもかかわらず、その時はそば屋を探す目的も忘れてさまざまな中道を巡った。

 道の凸凹に一瞬驚いた自分に「わはははは」と笑い、のっそのっそと横断する陸亀を歩道に救助し、しばし観察。風で落ち葉が舞う様子や、道路にはみ出た木にぶらさがった蜥蜴に「ほほお」と妙な感心を寄せつつ一人のツーリングを楽しんだ。