私は、バイクで山を登りながら海岸沿いへと抜けた。

 そこからは、眼下数十メートルに農村と西海岸の光景が広がる。

 太陽できらきらと光る海はブルー、エメラルドグリーンの光りを灯し、何度見ても飽きない色合いへとてらてらと変えている。

「よし、いつものここで休憩だ」

 坂道を登り切った場所のバス停にRVちゃんを停め、写真撮影と水分摂取に数分の休憩を挟んだ。

 道は同じでも、風景はその色合いを全く違う素晴らしさで奏でる。

 だから私は、何度でもバイクで走りたくなってしまう。

 北部のドライブでは平均的に行き交えりで百キロほど走るのだが、それと違い、あっさりと終わってしまう南部のドライブは迷子になって帰れなくなる心配もなく、知らない道に寄ってわざと回り道する醍醐味もあった。

 空気と景色を充分に堪能しても、午後四時までには家に帰れるのだ。

 とても素晴らしく、楽しくて、そしてお得な感じもする。

 当然ながら、私は気分に応じてバイクの進行方向を変えた。山に大きく掛かるニライカナイ橋から久高島のある海を一望し、美味い空気を肺いっぱいに吸い込んで、お馴染みのメロディを口ずさんだ。

 途中、ようやく一台の軽自動車とすれ違ったが、窓も開いていなかったので気にはならなかった。

 通り過ぎる一瞬で、私が一人意気揚々と歌っているなんて分からないだろう。

 分かる人もいるとは思うが、まあその時はその時だという気持ちだった。