「毎週、休日のドライブが楽しみだ」

 そんなことを口癖のように言っていたその始まりというのは、高校二年生の頃に、自動二輪の免許を取ったからだ。

 初めて父に買ってもらった荷物の乗らないマニュアル車。それを乗ることは少なくて、学生の頃はもっぱら原付バイクが私の交通手段だった。そうして働き出し、自分で稼いだ金で、今の一人のツーリングの愛車であり、相棒となったサンヤンのRV125のバイクを買ったのだ。

 半年間、いろいろなバイクを見て回ったあと、ブルーが眩しいコンパクトなボディとゆったり腰かけられる様が気に入って購入を決めた。

 六十キロの走行でトルクが安定するRV125の呼吸はどこまでも心地よかった。

 耳元で切る風にも構わずに、ふと浮かび上がったメロディを口ずさんでは、走行を楽しんだものだ。その時の私にもう怖いものなどなかった。

 だからこそ、一人ツーリングが当時はできたのだろう。