ー休み時間ー
「雨宮!」
授業が終わったと同時に俺の名が聞こえる。
誰に呼ばれたかは、見なくてもわかる。すぐそっちに向かっているのに、手招きされている。
こっちにおいで、と呼ぶ手。ずっと気になってんだけど、普通逆じゃね?
掌が上を向いてて、指をクイクイしてる。
あれ、人間呼ぶ時にしないだろ、とやられる度若干モヤるけど、気にしたら負けな相手だから、考えないことにする。
「いいか?」
「ああ」
教室の引き戸まで二人で辿り着き、最小限の会話から、阿吽で同じ方向に歩を進める。
休み時間は10分。時間がない中、最短距離で教室横の踊り場まで辿り着いた。
「ちょっと聞いてくれよ!」
屋上途中の人気のいない四角いステージに足を踏み入れた瞬間、目の前の男は口火を切った。
話を聞くために呼ばれたから、俺は不要な相槌は打たず、耳を傾ける。
「昨日またさ、悠太先輩ん家に行けたんだ!それでさ……」
息吸わなきゃ、呼吸困難になるぞと心配になるほど、喋り倒してくる。
踊り場の薄暗い中、目を爛々と光らせ肺活量と闘いながら熱く出来事を報告してくる目の前の奴は、澤井 仁。
こいつは今、不憫な恋をしている。
「雨宮!」
授業が終わったと同時に俺の名が聞こえる。
誰に呼ばれたかは、見なくてもわかる。すぐそっちに向かっているのに、手招きされている。
こっちにおいで、と呼ぶ手。ずっと気になってんだけど、普通逆じゃね?
掌が上を向いてて、指をクイクイしてる。
あれ、人間呼ぶ時にしないだろ、とやられる度若干モヤるけど、気にしたら負けな相手だから、考えないことにする。
「いいか?」
「ああ」
教室の引き戸まで二人で辿り着き、最小限の会話から、阿吽で同じ方向に歩を進める。
休み時間は10分。時間がない中、最短距離で教室横の踊り場まで辿り着いた。
「ちょっと聞いてくれよ!」
屋上途中の人気のいない四角いステージに足を踏み入れた瞬間、目の前の男は口火を切った。
話を聞くために呼ばれたから、俺は不要な相槌は打たず、耳を傾ける。
「昨日またさ、悠太先輩ん家に行けたんだ!それでさ……」
息吸わなきゃ、呼吸困難になるぞと心配になるほど、喋り倒してくる。
踊り場の薄暗い中、目を爛々と光らせ肺活量と闘いながら熱く出来事を報告してくる目の前の奴は、澤井 仁。
こいつは今、不憫な恋をしている。