週明けの学校は、酷く憂鬱だった。

 結姫が明日には元に戻ると言ってたから、日付が変わると同時に

 『無神経なことを言って、本当にごめん。これから結姫は、どうすれば笑ってくれる? 何をしたい?』

 そうメッセージを送った。

 メッセージは、放課後になっても既読になってない。

 期待を裏切り、最低な言動をした僕には当然の報いだよな……。

 結姫の今後を思えば、結姫と一緒にいたいなんて気持ちは持つべきじゃない。

 そんな欲望は結姫の命を奪いかねない、罪深い感情だ。

 あの場で輝明を彼氏に薦めたことは、本当に致命的な間違いだった。

 それでも余命のない先々を思えば、断ることは正しい選択だったと思うけど……。

 笑えてないだろう今、いつ結姫が命を落としてもおかしくない。

 結姫からメッセージも返ってこないし、昼休みも教室に来なかった。

 最低な僕に会いたくないというなら、それを尊重するべきだ。

 これ以上、僕が会えば……もっと傷付けて、今度こそ命を奪っちゃうかもしれない。

 多分、昇降口までの道で結姫が待ってることもない。鉢合わせることもないだろう。

 それでも念の為、急ぎ足で階段を降り下駄箱を目指す。

 そんな時――

 「――……凛奈ちゃん?」

 不穏な空気を漂わせた凛奈ちゃんが、僕の下駄箱へ寄りかかるように待ってた。

 「ちょっと付き合ってください。拒否権はないです」

 以前よりも、さらに強い憎しみ、怒りや哀しみを帯びた瞳で告げた。

 手には下駄箱に入れてた僕の靴をぶら下げてる。

 これは絶対に逃がさないという、強い意思表示だよな……。

 人目 のない体育館裏にやってきた途端、凛奈ちゃんは僕を睨みつけながら。