「最近学校どうだ?」
「どうもこうも、ちゃんと行ってるよ」

 光毅と僕は、三軒隣の超ご近所で、小中高全部同じ学校に通ってた。去年までは。

「ちゃんと勉強してるか?」
「僕より成績悪かった光毅に言われたくないよ」
「ちぇっ、厳しいツッコミ変わらないな」
「フフ、勉強だけじゃなく、運動神経も光毅に勝ってたけどね。落っこちたの僕が作ったせいじゃないんじゃない?」
「あー耳痛い。そうだ、”たつき”と”みつき”名前似てるから一緒にいて良く呼び間違えられたの困ったけど、今は間違えられる事なくなったんじゃないか? たつきオンリーだから!」

「っ……そんなこと、冗談で言うのは、まだ一年じゃ……早いょ……」
「ごめん! ごめん!」

 数秒前まで笑って毒舌吐いてた僕が急に号泣してしまって、光毅はオロオロフワフワしながら慰めてくれた。
 だめだ、自分でどうしようもない。情緒不安定で無理。
 急にリアルな生活で独りなことを思い出されて、小さい頃から親にまで呼び間違えられて二人で笑った思い出もフラッシュバックして。

 今会えて、楽しい、嬉しい、けど現実は寂しい、悲しい、の波状攻撃で喜怒哀楽がめちゃくちゃだ。
 
 だけど光毅だって、いや光毅の方が、もっと破裂しそうなくらい色んな気持ちがあるはずだ。
 なのに今日は僕を笑わせて、慰めてくれてる。
 ずっと昔からだから当たり前だと思ってたけど、居なくなって気付けて毎日毎秒有難味を感じている。
 
 僕は奥歯を食いしばって、笑顔を再び作る。
 しばらく二人でお互いの地雷を踏まない様にだけど、昔みたいに変わらず下らない話題で談笑を続けた。