「よお、久しぶり」
「!? お、帰り……なさい」
びっくりさせるつもりだったんだろうけど、僕が挨拶を返したからか、面食らった顔をしてる。
普通に声が出たの、自分でも意外だった。
「驚いた。平気そうだから。俺が見えるなら、怖がって叫びまくって逃げ回るのかと思った」
「いや、驚いた、けど……平気」
今目の前に現れた光毅が去年突然死んだ時。
理解出来ないショックと、前日まで自分と一緒だった光毅が知らない何かになってしまった様で、怖かった。
お通夜も葬儀もそれから暫くの間、今振り返っても記憶がない。
なのに不思議なものだ。二階の僕の部屋に、閉まった窓を通ってやってきたんだから幽霊と認めざるを得ないのに、元気だった頃の光毅のまんまだからか、怖さを感じない。
怖いどころか、嬉しい。
夢なのかなと思って、自分のほっぺをビンタしたら、またびっくりした光毅に止められた。
制止する掌には、触れられなかったけど。
ジンジン痺れている左頬を撫でながら、僕は尋ねた。
「なんで、来たの?」