あの日、眩夢の十七歳の誕生日を境に、涙との関係は、ラブラブというのかズブズブというのか、密度の高いものになった。
「眩夢と超クラス離れた。せっかく学校ラストイアーなのに。」
「一緒に飯食べるからいいだろ。」
眩夢と付き合いはじめると、涙は今まで二か月に一回くらいだった愛彼氏弁当を、せっせと毎日作ってくれた。その姿は正直けなげで、眩夢はいつも食物と涙に感謝して、いただきます、と言う。涙の作る焦げかけたハンバーグの後引くほろ苦さが、たまらなくクセになる。
「完食。美味しかった。ありがとう。」
そう告げると不安そうだった涙の顔がパーッと明るくなる。誰も来ない準備室、涙は眩夢にまるで猫みたいにすりすりゴロゴロ甘える。
「眩夢、だーいすき。」
眩夢はいつも通り涙の頭を撫でながら、長い前髪をはらうと、涙の目の下にくまを発見した。
「こら涙お前、あんまり寝てないんじゃないか?弁当、無理しなくていいんだぞ。」
「弁当は問題ないけど、今大学受験の勉強頑張ってるから、それで寝不足かも。眩夢は、受験勉強捗ってる?」
うぐっ。眩夢が答えようとすると、、、。
「愛陽眩夢。至急職員室までくるように。」
校内放送に呼ばれるなんて初めてで、眩夢は戸惑った。
「眩夢呼び出されちゃった。」
「行ってくる。じゃあな。」
眩夢が職員室に入ると、担任の男が頭を抱えていた。
「愛陽、お前本当に今の進路でいいのか?言いたくないが、お前の学力じゃ無理だ。お前ならスポーツ推薦の話が来てもおかしくないくらいなのに、部活もやってないし。先生はもったいないと思う。」
「俺はやりたいことやって、やりたくないことはやらないだけです。今から猛勉強するので、進路は変えません。では。」
教師を真っ直ぐ見ることは、出来なかった。
廊下に出ると、涙が待ってくれていた。
「眩夢、大丈夫だった?」
「うん。成績が芳しくないから、進路変えろって。」
「変えるの?」
「いや、お前と一緒の大学行きたいし、変えない。」
「眩夢、、、。あんまり言いたくないけど、最近寝てないみたいだし、無理して僕と同じ大学行かなくても、いいんじゃないかな。」
涙の言葉に、眩夢は悲しくなった。
「ごめんな、俺の頭が悪いばっかりに。涙、お互い頑張らないとだし、受験終わるまでちょっと距離を置こう。」
涙の瞳がみるみるうちに潤んできた。眩夢は涙の頭を優しく撫でながら、囁いた。
「大学生になったら、一緒に住もう。」
そして長く厳しい冬が終わり、穏やかで暖かな春がやってきた。
久々に見た涙はもともと痩せ型なのに少し痩せていて、心配になった。
「涙お前ちゃんと食べてるか?痩せてるぞ。」
「確かに、今日やっと眩夢に会えるーって思ったら、胃がぎゅーってなって食欲無くて。会いたかったよ、眩夢。大学合格おめでとう。」
「お前もな、涙。おめでとう。」
これからもずっと二人で、手を取り合い歩いていこう。涙さえいれば、眩夢には何も恐れることはなかった。
「これからも、よろしくな、末永く。」
「こちらこそ、大好きだよ、眩夢。」
二人で歩く桜並木は、桃源郷のようで。
「眩夢と超クラス離れた。せっかく学校ラストイアーなのに。」
「一緒に飯食べるからいいだろ。」
眩夢と付き合いはじめると、涙は今まで二か月に一回くらいだった愛彼氏弁当を、せっせと毎日作ってくれた。その姿は正直けなげで、眩夢はいつも食物と涙に感謝して、いただきます、と言う。涙の作る焦げかけたハンバーグの後引くほろ苦さが、たまらなくクセになる。
「完食。美味しかった。ありがとう。」
そう告げると不安そうだった涙の顔がパーッと明るくなる。誰も来ない準備室、涙は眩夢にまるで猫みたいにすりすりゴロゴロ甘える。
「眩夢、だーいすき。」
眩夢はいつも通り涙の頭を撫でながら、長い前髪をはらうと、涙の目の下にくまを発見した。
「こら涙お前、あんまり寝てないんじゃないか?弁当、無理しなくていいんだぞ。」
「弁当は問題ないけど、今大学受験の勉強頑張ってるから、それで寝不足かも。眩夢は、受験勉強捗ってる?」
うぐっ。眩夢が答えようとすると、、、。
「愛陽眩夢。至急職員室までくるように。」
校内放送に呼ばれるなんて初めてで、眩夢は戸惑った。
「眩夢呼び出されちゃった。」
「行ってくる。じゃあな。」
眩夢が職員室に入ると、担任の男が頭を抱えていた。
「愛陽、お前本当に今の進路でいいのか?言いたくないが、お前の学力じゃ無理だ。お前ならスポーツ推薦の話が来てもおかしくないくらいなのに、部活もやってないし。先生はもったいないと思う。」
「俺はやりたいことやって、やりたくないことはやらないだけです。今から猛勉強するので、進路は変えません。では。」
教師を真っ直ぐ見ることは、出来なかった。
廊下に出ると、涙が待ってくれていた。
「眩夢、大丈夫だった?」
「うん。成績が芳しくないから、進路変えろって。」
「変えるの?」
「いや、お前と一緒の大学行きたいし、変えない。」
「眩夢、、、。あんまり言いたくないけど、最近寝てないみたいだし、無理して僕と同じ大学行かなくても、いいんじゃないかな。」
涙の言葉に、眩夢は悲しくなった。
「ごめんな、俺の頭が悪いばっかりに。涙、お互い頑張らないとだし、受験終わるまでちょっと距離を置こう。」
涙の瞳がみるみるうちに潤んできた。眩夢は涙の頭を優しく撫でながら、囁いた。
「大学生になったら、一緒に住もう。」
そして長く厳しい冬が終わり、穏やかで暖かな春がやってきた。
久々に見た涙はもともと痩せ型なのに少し痩せていて、心配になった。
「涙お前ちゃんと食べてるか?痩せてるぞ。」
「確かに、今日やっと眩夢に会えるーって思ったら、胃がぎゅーってなって食欲無くて。会いたかったよ、眩夢。大学合格おめでとう。」
「お前もな、涙。おめでとう。」
これからもずっと二人で、手を取り合い歩いていこう。涙さえいれば、眩夢には何も恐れることはなかった。
「これからも、よろしくな、末永く。」
「こちらこそ、大好きだよ、眩夢。」
二人で歩く桜並木は、桃源郷のようで。