一緒の委員会にするとか、俺ストーカーみたいで気持ち悪いかな。引かれたらどうしよう。
そんな不安もあったけど、『図書委員やろうと思う』と話した俺に彼女は笑って頷いてくれた。

それだけで舞い上がるような気分になって、恋にこんなに浮かれる自分がいたことに少し驚いた。



それから毎週金曜日は、ひなとふたりで図書委員の当番があり、俺はその日が毎週待ち遠しくなった。

顔を合わせる度、彼女が読んだ本の話を聞いたり、俺の好きな漫画の話をしたり……ひなにとって楽しかったかはわからないけど、少しずつ笑顔を見せてくれることが増えてしあわせな日々を過ごした。



そんな中での、校外学習。

プラネタリウムなんて寝てしまいそうだ、と思ったけれど、なんと座席は偶然にもひなと隣同士。心の中でガッツポーズをした。

リクライニングチェアで横になる形で皆が星空を見る中、俺の視線はほとんどひなの方へと向いていた。

とがった鼻先に小さな唇、長いまつ毛。薄暗い中で見るその横顔は、いつもと違って彼女を大人びてみせた。

やっぱりかわいいな。隣で横になっている、というこのシチュエーションだけですごく緊張してきた。
心臓の音が聞こえてしまいそうなくらいドキドキして、『おさまってくれ』と心の中で何度も繰り返した。

するとふとした瞬間、こちらを見たひなと目が合った。
しっかりと合った目と目に、心臓が跳ねそうになる。

途端にひなは恥ずかしそうに目を逸らして、再び天井へ視線を戻した。

俺の視線に気づいてこちらを見たのだろうか。いや、でもその反応……。
ただの同級生にする反応とは違っていて、心の中でつい期待してしまう。

もしかしたら。少しでも好意を抱いてくれているのかもしれない。
そう思ったら嬉しくて、上映後ついひなを引き止めた。



『なんでさっき、俺のこと見てたの?』



俺の問いかけに、ひなから返ってきた言葉は。



『……シリウスみたいって、思ったから』



予想外のものだった。

シリウス……それは、ちょうどひなと目が合う前だっただろうか。ナレーションが説明をしていた、冬の大三角のひとつだ。
青白く光る、地球上から見える星で最も明るいと言われている星。