お父さんと初めて向き合った日の夜は、よほど疲れていたのか夢すら見ずに眠った。

深い深い眠りの中思う。
これだけのものをくれる彗に、私はなにをしてあげられるんだろう、って。

本当に、運命を変えて彗のことを助けられるのかな。
そしていつか元の世界に戻るんだろうか。
元の世界で私は、自分を好きになれるんだろうか。



12月7日、土曜日。
休日にも関わらずいつもと同じ時間に目を覚ました私は、机の上のカレンダーを見た。

今日は土曜日。そして、彗が亡くなるのは日曜の夜だ。
今日を入れてあと二日しかない。

……このまま、どうすればいいんだろう。
私に彗の運命を変えられるのかな。
自分になにができるのかわからないまま、刻一刻と『その時』は迫っている。

焦る気持ちを抑えるように、私は机の上のカレンダーを倒し伏せた。



とりあえず、今日は彗とデートだ。
待ち合わせの12時に向けて身支度を済まさなければ。

……思えば、付き合って半年経つのにまともにデートするのはまだ2回目だ。

毎週末、私は塾、彗はバイトとお互い忙しかったし。夏休み中も私は夏期講習、彗は補習とバイトで予定がパンパンで、デートができたのは1回だけ。

正直私は、平日の少しの時間だけでも彗と過ごせているだけで胸がいっぱいで、手をつなぐ以上の関係を想像する余裕もなかった。


付き合ってからキスすらもしてないって、今更だけどなかなかプラトニックな関係かも。

でも改めてデートしようと言うからには、もしかして。
彗とのキスシーンを想像するとそれだけで恥ずかしく、かき消すように頭を振った。

とりあえず服を選ばなきゃ。かわいい格好、したいし。