「それ以降もいつもひとりで勉強したり本読んだりしてて、他の人とは空気が違って見えた。
凛とした姿が俺や他の人には持ってないものを持っていて、気付いたら惹かれてたんだ」
私が彗に惹かれていた日々。
その間、彗も私に目を向けてくれていたのだと知って、驚きながらもうれしさが勝る。
「それに校外学習のあの日、俺のことを星に例えてくれたでしょ」
「……うん」
「普段『太陽みたいな明るいやつ』って言われることはあっても、星のようって言われたことはなかったから。
この人は俺の表面上だけじゃなく、中まで見てくれてるんだなって思って一気に好きになった」
強い光で照らすだけじゃない、小さなあかりで寄り添ってくれる。そんな彼の優しさを星に例えた。
それに対して彗も思うところがあったようで、あの日の告白につながったのだろう。
彗は横になったまま、土で汚れた手をこちらへ伸ばす。
そして指先で私の頬を小さく撫でた。
「なにもない、なんて言わないでよ。ひなにはひなの、いいところがたくさんある」
「私の、いいところ?」
「口元を隠しながら控えめに笑うところも、俺に呆れながらも見守ってくれるところも。
好きな本について話してるときの生き生きとした顔も、全部いいところ」
私なんか、私みたいな。
そんな言葉で自分を卑下してばかりいる私を、彗はちゃんと見てくれている。
なにげないところを、いいところとして受け入れてくれる。
「自分らしくいるひなが好きだよ。だからひなも胸を張ってほしい。
好きな人、好きなもの、それらを隠したり諦めたりしないでほしい」
彗の真っ直ぐな言葉に、無性に泣きたくなった。
『好きな人につりあわないから』と隠そうとしていた自分も、『好きなものは否定されるから』と諦めようとした自分も。彗のひと言ひと言に、変えられていく。