プラネタリウムの上映が終わり、ほとんどの生徒があくびをしながらホールを出る中、私も同じく席を立とうとした。



『あの!』



けれど、まだ隣の席に残っていた彼が私の腕を掴んで引き留めた。
驚き足を止めると、彗は真剣な顔を私へ向ける。



『なんでさっき、俺のこと見てたの?』



それは、さっきの目が合ったときのことだろう。
見てないよ、と言えばきっとそれで終わりだ。
だけど、ここで嘘をつけばまた『たくさんの同級生のうちのひとり』でしかいられないと思ったから。



『……シリウスみたいって、思ったから』



ぽつりと、つぶやくように答えた。



『シリウスって、さっき出てた星の?』

『うん。普段の深山くんは太陽みたいな人だけど、ふとした時に星のような人にも思える』



いつでも皆を明るく照らす、まぶしい太陽のような人。
だけど、私にとってはそれだけじゃない。

例えばひとりで夜道を歩いているときに、頭上でそっと寄り添ってくれるような。そんな小さな輝きを持つ人。


……なんて、ちょっと恥ずかしい言い回しだったかな。
自分の発言が照れくさく、頬が少し熱くなった。

すると彗は少し黙ってから、熱を帯びた目で私を見つめて言った。



『……好きだ』