「でも、俺こそごめん。ひなの気持ち無視して俺の意見押し付けすぎたって後悔した」
彗はそう謝ると、私の頬に手を添え顔をあげさせると額同士をそっと合わせる。
窓から入る太陽の光が、彗を背後から照らしている。
まるで光に溶けてしまいそうな彼は、しっかりと瞳に私を映してささやいた。
「好きだよ、ひな」
低く穏やかな声が、しっかりと胸に響いた。
やっぱり、彗のことが好き。
だけど彗は、5日後に亡くなってしまう。
……そんなのいやだ。助けたい。
これからの日々の中でなにかを変えることで、もしかしたら、未来を変えることができるのかもしれない。
むしろ私はそのために、タイムスリップしてきたのかもしれない。
なら私は、彗を助けるためにできることをひとつずつするだけだ。
もう、後悔したくないから。
「彗。これから先の一週間、私にちょうだい」
「え?どういうこと?」
「彗と一緒にいて、できる限りのことをしたいの」
彗を助けるためのきっかけを見つけるために、少しでも多くの時間を一緒に過ごしたい。
その気持ちから発した私の言葉に、当然彗は意味がわからなそうに首を傾げた。
「よくわかんないけど……ま、いっか。俺はひなといられるならそれが一番幸せだし」
『幸せ』、そう言い切って歯を見せて笑う。
その笑顔が、一週間先も、一ヶ月、一年、数年先も続いていくように。
私が、彗を助けるんだ。