彗と過ごした二度目の日々から覚め、あのあと私は夢で会った人々のもとへ会いに行った。

CDを手に埼玉の岡澤さんのもとへ、記憶を頼りに歩いて千代さんのもとへ。
そして、先生からつないでもらい彗のお母さんと柚花ちゃんのもとへ。



事情を話すと彗のお母さん以外は、私と実際に会うのは初めてだと皆口を揃えて言った。

けれど全員、『夢の中で彗と私と会った』とも言った。



『夢の中で、あなたと深山が病院に来てくれて、私久しぶりに深山と話せたんだ。
いい夢だなって思ってたんだけど……本当に、来てくれてたんだね』

岡澤さんも。



『彗ちゃんが亡くなったって聞いて、ただただショックでね。
でも夢の中であなたと彗ちゃんと会えて……またひなちゃんと会えるって、信じてた』

千代さんも。



『お兄ちゃんが死んじゃって、私ずっと後悔してたの。
けど……夢の中でだけど、ちゃんと気持ち言えてよかった。ひなさんが言ってくれたおかげだよ』

そして柚花ちゃんも。

みんな涙を浮かべながら、『ありがとう』と口にした。
それを見て、気づいた。

あの日々は、彗の願いを叶えるため。私の未来のための時間だった。
だけどそれだけじゃない。
みんなのためのものでもあったんだ、と。



夢だけど、ただの夢じゃない。
目覚めた今も、みんなの背中を優しく押してくれている。