秋に入るというのに、暑さは去年より高くて、寒さも感じられない。

 まだ夏のようだが、もう日にちは秋だ。

「おいおい、聞いたか」

 他のクラスから来た男子が夜倉と同じクラスメイトにクラス全員に聞こえる声で言う。

「なに、どうしたの。そんな焦って」

 他のクラスの男子がどこからか走ってきたのか顔には汗が出ていた。

「朝谷が怪我したって。昼休みにバスケする約束だったのに。できないだってさ。悲しくない」

 口をプッと突き出して、楽しみにしていたのにと他のクラスの男子は呟いた。

「それで走ってきたのか、お前。仕方ないだろ」

 夜倉と同じクラスメイトはお前なぁと呆れた様子だった。

 だってさ…と他のクラスの男子は椅子に腰を掛けた時に、夜倉は話しかける。

「朝谷。今どこいるの?」

「えーと……確か、保健室」

 急に話しかけられたことに驚いたのかビクッと他のクラスの男子は肩を上げた。

 ありがとうと夜倉は他のクラスの男子に肩をポンとしてからお礼をした。

 夜倉は保健室にいる朝谷の元へ走った。

 朝谷が怪我しただけでこんなに心配になるなんて。

 しかも、異性だぞ。

 なのに、夜倉は朝谷が無事なことを確かめたかった。

「……こんなになるって……」