昼越は笑って、両肩をあげていた。

「おい。俺そんな分かりやすいか」

 夜倉は昼越に言い返す。

「いや、分かりやすいというより分かるんですよ。師匠と話したり、教えてもらってこの人こんな表情するんだって。だから、朝谷さんもそうなんじゃないですか。師匠も朝谷さんも話して分かったことあるんじゃないですか」

 いつもは師匠~と言って愚痴を聞かせれて子犬のようについてくる昼越。

 頼りないと思いきやしっかりした考えを持っている。

「……昼越って香水が知りたいだけだと思っていたけど違うんだな」

 夜倉は口を開けて、ポカンとした。

 昼越は一つ年下だけども、頼れるところがある部分があることを知った。

「ひどくないですか。俺をどう見てたんですか」

「……いや…」

 夜倉は言葉を濁す。

 だって、人をきちんと見てるとは思わなかったし。

 香水が好きなだけで夜倉自身を見ているとは思わなかった。

「まぁ、いいですよ。師匠、続きしましょう」

 昼越は口を歪ませて、ため息を吐く。

「ああ」

 返事をした夜倉は頭の隅で朝谷の顔が浮かんだ。

 夜倉が朝谷の家から出た後の朝谷の悲しそうで今でも何かを引きちぎられそうな胸の痛み。

 それを思うと、目が痙攣をおこす。