男子クラスメイトはもう一人の男子クラスメイトに騒ぎ立てる。

「俺もうお前についていけないよ。朝谷、あとは頼んだよ。ゴメンな」

 もう一人の男子クラスメイトは朝谷に肩をポンと置いた。

 ああと朝谷は言ってから、男子クラスメイトと向き合う。

「さぁ、クラスメイトも仲いいお友達も味方いなくなったね」

 朝谷は右に口角を上げてから、どう来るのか挑戦状をたたきつけた。

 クラスメイト達はこれ、殴り合い決定?これ、先生呼んだほういいやつじゃない。どうする?と騒ぎ始めていた。

「二人いるから、味方はいる」

男子クラスメイトは親指を立てて、女子クラスメイト二人を指をさす。

「えーと、私は別に味方とかではないし」

「私も面白そうだからだけ、でも、こんなひどくなるようだったら撮るのやめるし」

女子クラスメイトともう一人の女子クラスメイトは男子クラスメイトの味方ではないと否定した。

 あくまでも面白くなくなったら、別にどうでもいいらしい。

 男子クラスメイトが言っていることに対しては、興味すらないらしい。

「だとよ。これで本当に味方いなくなったな」

 朝谷はパンツのポケットに両手を突っ込んで、顔を上にあげて、男子クラスメイトを見下ろした。

「…はぁん。夜倉。こいつ殴っていい。お前とつるむほどの奴じゃないよな」

 男子クラスメイトは夜倉の左耳を掴んで、引っ叩く。

「…よっちゃんになにすんだよ。よっちゃんも何か言い返せよ。んだよ、分かってんだろう、本当は。言えるのに言い返さないとかなんなん。んだから、よっちゃんの言葉聞かせろよ」

 朝谷は机にバンと強い音がするほどの勢いで叩き、夜倉の返答を待っていた。

 何も言わない夜倉に対して、イラつきを見せながらも夜倉自身の言葉を言ってほしかったのだ。

「……っ……言うことはない。朝谷。俺のことはいいから。自分のいる場所に戻れ」

 夜倉はか細い声で朝谷に言い放つ。

 言うことは本当にない。

 ただ、ここにいてはダメだということは分かるだろう。

 朝谷。お前は友達がいるし、俺が好きだと言ってくれたけど、それはいつも関わっている人と違うからだろ。

 親が片方しかないということも、偶然だし、そんな事実を抱える人はたくさんいる。

 夜倉と朝谷だけじゃない。

「戻るとかないから。なに居場所って。俺の意見は。よっちゃんはどこに居場所あんだよ」