意識がないのかあるのかよくわからなくなっていた。

 もう、いいよ、どうでも……

「よっちゃん!」

 夜倉はもうどうでもよくなってきた時に、朝谷は夜倉の教室に来た。

「……っ……」 

 夜倉は声が出なかった。  
 
 朝谷がなんでここにいるのだろう。
 
 他のクラスだろ。

 お前はここにいるべきじゃない。

 お前の友達といるべきだ。

 ここじゃないんだよ、朝谷。

 もう俺のことはほっておいていいんだよ。

 夜倉はクラクラとした頭の中に香水の匂いとともに雲に寝転んで消えない痛みがぶら下がっている。

「……お前は違う……」

 夜倉は目を細めて、前髪を押さえていた男子クラスメイトの手をグッと掴んだ。

「痛いな! なにすんだよ!」

 男子クラスメイトは夜倉の手を払いのけて、夜倉の頬を叩いた。

「やめろよ! なんでこんなことすんだよ」

 朝谷は男子クラスメイトの胸倉を掴み、睨みつける。

「面白くないからに決まってんだろ。男が香水とかネタしかないだろ。男は男らしくいなきゃいけないしな」

 男子クラスメイトは近くにあった机をバンと蹴って、煽る。

 朝谷は目を見開き、血迷った。

 他のクラスメイトはキャー、キャーと叫んで、教室のドア付近に女子は身を寄せて、男子は動かずに固まっていた。