店から出て、階段を上って、自動ドアが開き、外に出た。

「暑―い」

 つむぎが外を出た瞬間、両手を上げて叫んだ。

「さっきよりも暑くなってますね。師匠、俺こっちの方向なのでまたです~」

 昼越は同意して、夜倉に手を振っていた。

「俺もこっちだから帰るわ」

「え? そっち方面でなんかあんの?つむぎ」

 朝谷は帰る方向と違かかったので聞き返す。

「面白そうだから」

 つむぎは好意的にしてくる人にはすぐ打ち解ける。

「いや…いや…」

 朝谷は焦った。
 
 積極的に話しかけるものの外で学校・ゲームセンタ―以外に会ったことはない。

「暑いね。前髪隠して暑くない?」

 朝谷は鞄を右肩にかけて、立ち尽くしていた。

「……別にいつものことだし気にしないよ。朝谷はこっち?」

「そうだよ。少し仙台駅周辺見ようかなと」

「ふーん」

 そう返事をしてから、歩き始めた。

「さっきまで話さなかったのに俺と二人になったときは話すんだ」

 朝谷は夜倉の様子が変わらないか見逃したくなかった。

「つむぎくんだっけ? 四人以上になると話せないし。知り合ったばかりの人にうまく話せないから」