すかさず朝谷は質問をする。

「……母はいる」

　それだけ答えてから夜倉は黙り込んだ。

「こうきの所は妹二人と父親だっけ」

　つむぎは話を変えて、朝谷の家族の話になった。

「うん。うちは母親がいなくて、父親と妹二人でいるよ」

「そうなんっすね。俺は両親ともいるんですけど。姉も両親も騒がしくて」

　ニコニコとした表情を変えずにかわいそうとも同意しなくて昼越は話を流してくれた。

「分かる。分かる。騒がしいよな。俺のところもさ、心配性でさ…女できたときは言えって」

　つむぎは自分の家族の話をし始めた。

　昼越とつむぎは息が合うのか話が弾んでいた。

　一方で夜倉は黙っていた。

　夜倉は一瞬、朝谷の家族の話になってから顔を上げていた。

　目が合った気がするけど、目が泳いでいるのは分かった。

　朝谷はトイレに行き、戻ると昼越と夜倉はドリンクを交換していた。

「昼越。ドリンクよっちゃんと交換した？」

　昼越は飲んでいたココアからメロンジュースになっていた。

　気になったので昼越に聞くと、あっけらかんと答えた。

「そうっすよ。俺、ココア飽きたので交換してもらったんです。師匠が了承してくれて」