「いるよ。妹二人」

「こいつの妹、チョー可愛いのよ。見せてやれよ、昼越に」

 つむぎは朝谷の妹を見せるように言われて、渋々、携帯に入っている写真をタップして見せた。

「可愛い。師匠見て、これ」

 夜倉は三人の会話には入らず隅っこで注文したメロンジュースをストローを口にくわえて飲んでいた。

 朝谷と二人で話すよりも話さないし、昼越といる時よりも楽しそうにしていない。

 朝谷とは話すけど、楽しそうにしていない夜倉を見るとむかつく。

 朝谷の時は楽しそうじゃないのに昼越の時は楽しそうなのなに?

 朝谷の妹二人の写真を見ても、黙って頷くだけだった。

 可愛いの一言もない。

 妹、可愛いだろ。

 心の中でそう言う。

 朝谷は表には出さないが、妹は世界一可愛いということは事実だ。

 昼越とつむぎが朝谷の妹の写真を見ている時に、朝谷は夜倉の顔をストローを加えたままずっとガン見していた。

「師匠は兄弟いましたっけ?」

 ココアを飲んだ後に夜倉の方に昼越は頬杖をつけて聞く。

「……いないよ」

 夜倉は表情を変えずに答える。

 今日初めて声聞いたかも。

「両親はいるの?」