つむぎはニンマリと笑い、昼越は夜倉の隣の席に移動した。

 朝谷とつむぎは夜倉と昼越と向かい合せるように座る。

 朝谷は遠慮気味にエメラルバッグを床に置き、つむぎの隣にいた。

「いつもここ来ないですよね、ここ」

 昼越は朝谷とつむぎに向かって、テーブルを指をさして言う。

「そうだね。来ないね。今日、たまたま寄ってみただけだよ。君たちは頻繁に来るの?」

 つむぎは近くにあったメニュー表を取り、昼越と目を合わせる。

「はい、よく来ますよ。ねぇ、師匠。俺たち学ぶことがあるので」

 昼越は笑顔で話していた。

 隣にいた夜倉は目を泳がせていた。

「あ、あの…、なに頼む? つむぎは?」
 
 朝谷は話を逸らして、つむぎに聞く。

「ああ。じゃあ、そうだな。俺、コーヒーで」

 つむぎはメニューを確認してから、ドリンク一つ頼み、朝谷はりんごジュースにした。

「俺はココアにしよう・師匠はまたメロンジュースいいですかね」

 昼越は当たり前のように夜倉が好きなドリンクを頼む。

 夜倉は平然として、テーブルにあったポテトを口にしていた。

 なんで昼越とは自然に笑えているのに、朝谷の時はあまり笑わないんだ。

 水をかけ合った時は微笑む程度だったが、昼越とは素で笑っている気がする。

 朝谷が知らないことを昼越が知っているんだ。