よっちゃんは変わらない。

 朝谷が話しかけても、一向に距離感が変わらない。

 なんでだ。

 朝谷は夜倉に告白をした。

 好きってよっちゃんに言ったのに、友達ではなく、恋人としての関係を朝谷は望んだ。

 こんなにも話しかけても話しても、友達という言葉は好きを言ったからもう友達のカテゴリーには入らない。

 友達になっても友達じゃ足りないくらいになっていたと思う。

 そう今みたいに。

 だけど、朝谷たちの関係性はゲームセンターで出会った頃よりも変わっているのだろうか。

 本当は店員とお客の関係性のままじゃないかって不安になる。

 朝谷だけそう思ってるのか。

 いや……よっちゃんも何か思っているはず。

 告白したのだから。

 少しでもよっちゃんに伝わっているはずだと信じたい。

 部活帰り、つむぎと一緒に帰っていた。

「今日も練習ハードだったな。なぁ、こうき」

「あ……うん」

 朝谷は東西線連坊から仙台駅に着き、目的もなく歩いていた。

 どんくらい歩いただろうか。

「聞いてる? 疲れたか」

 つむぎは心配して、朝谷の顔を窺ってきた。

「大丈夫、大丈夫」

 朝谷はそう言ってから、つむぎは周りを見渡して近くにあった看板を指をさした。

「あ、ちょうど、ここのビルにサイゼリアあるから寄っていかない?」

 つむぎが言ったビルは居酒屋や美容クリニックなどの複数の店舗が入っていた。

 確かに疲れたし。こんなに悩んでるなら一回休憩して頭と身体を休めたい。

「うん、寄ろうか」