パフュームフラワー

 
前髪でさらに目元を覆い、同じ高校に通う人達を避けて、階段で上ってイヤホンをつけて耳の中でリズムが鳴っている。

目をつぶり、空いていても立っている。

ここからの景色は『心地よい』。

笑顔が零れる。このカタカタとする音がいい。なにも見えなくて、暗いのに人はいる。どこか秘密基地にいるようだ。

だけど、唯一苦手な音・匂いがある。それは学校という中の洞窟だ。

入るだけで別世界にいるみたい。

 学校に着くと、夜倉は自分の椅子に座り、ポツンと窓際の方で突っ伏していた。

どの空間にいても、鮮やかではなく、白黒の世界にいるようだ。

地下鉄での暗闇の景色やゲームセンターの音以外は光がない。

あっという間に放課後になった。

パンツのポケットから着信音がしたので、携帯を取り出す。

ラインを開くと、昼越ハルから連絡がきていた。

本当は昼越に今日、香水の種類を教えることになっていたが、「師匠。今日すいません。無理になりました。説明は後日に」とラインがきていた。

携帯を胸ポケットに入れて、立ち上がる。

教室のドアを豪快に開けて、廊下に出た。