「もう座ってるよね」

 夜倉はモグモグと噛みながら、声を出す。

「一応、聞いてみたの。了承してくれてるのかなって」

 朝谷は夜倉に確認をしたかったらしいが、絶対違う気がする。

 ただ俺をからかってるだけじゃないか。

 鼻で笑って、夜倉はみそ汁を啜っていた。

「……ふーん…」

 そう夜倉は言ってから、朝谷は大盛りのご飯をいただきますと両手を揃えて、ガツガツと食べていた。

 そんなにがっつくほど腹が減っていたのか。

 夜倉は朝谷が食べている姿を隣で見ながら、唖然とした。

 何かの視線を感じて、夜倉は真正面にいた朝谷の友達らしき人物が見ていたが、他の友達は夜倉から見て、斜め右方向へ座っていた。

「本当にゲームセンターと大違いですよね」

 ご飯を一気に食べてせいか、胸を押さえて朝谷は咳をしていた。

「大違いって。分からない人は分からなくていいんだよ。別に。俺が俺である限り」

 そう口にしたが、今思った。

 なに、俺は恥ずかしいことを。

 俺が俺である限りって。どこ様の人かよ。

 夜倉は左に顔を向けて、朝谷に顔向けできなく、右手を顔で隠した。

「なに、隠してんの」

 朝谷はニヤニヤと笑いながら、テーブルに肘をついていて、夜倉の顔を覗いてきた。