夜倉の後ろにいる朝谷の方に振り向いて、目で訴える。

「俺、冷たい水買おうとしたんだけど、なんで炭酸水にした?」

 がっくりした肩を必死に上げて、夜倉は朝谷に問いかける。

 自分の買いたいものくらい買わせてくれ。

「え? だって俺が飲みたかったから」

 朝谷は偽りなく、新しい水を取り替えたように目が瑞々しかった。

 いや、飲みたいなら自分のお金で買えよ。

 そう心の中で突っ込んで、夜倉の返答を待っているのか見ていた。

「じゃあ、あげるよ。俺、違うの買うから」

 そう言ってから胸ポケットにある小銭入れを夜倉が出す。

「俺が勝手に買ったのに言うことそれだけなんだね」

 朝谷はニコニコと笑っていた。

 夜倉になんて言ってほしかったんだ。

「別に。もう買ったこといちいち言っても仕方ないしね。じゃあ、俺行くよ。俺といると変に思われるだろう。ほら」

 夜倉は買いたかった温かいお茶と冷たい水を二つ買い、去ろうとした。

「なんでそんなに決めつけるの? 決めつけることでよっちゃんがいいことあるの」

 朝谷は真顔で夜倉に言う。

 なんでそんなこと聞くんだ。