「やりたくないけど、出来るのはバスケとサッカーと野球なので。昼越こそ、いつもの三つの球技でしょ」

「そう。バレー、バスケ、卓球。前回と同じっす」

「ふーん。ってか、お前ここにいてもいいのかよ」

「え?なんで」

 昼越は不思議そうに首を傾げてから夜倉に聞いてくる。

「だって、友達いるだろう。ほら、こっち見てくる友達もいるし」

 夜倉は昼越に気を遣った。

 昼越は夜倉より友達も多いし、意外にも人に慕われている。

「俺は師匠と話したいから話すの。師匠こそ、周りに気遣いすぎ。好きなものは好きって言えない方が辛いじゃないっすか」

 昼越は両腕を頭の上にのせて、豪快に笑った。

 好きね。そう公に出来たら、苦しくないのかな。

「だから、俺、師匠がなんで香水好きを隠すのなんでかなと思うんですよ。師匠。なんで俺に口止めしたんですか」

 以前、昼越に香水を教えるにあたり、ルールを作った。

 一つは俺が香水好きなのは黙ってること。

 二つは教えたことは外部に漏らさない。

 三つは俺のことは一切聞かないで。香水のことだけ。

「昼越。香水教える代わりのルール覚えてる?」