男子高校生こうきの意志はフィギュアを取りたいという気持ちしかなかった。

 夜倉にはどうしてもこれが欲しいという欲はない。

 だから、分からない。

「…頑張ってね」

 夜倉はそれだけを言い残して、仕事へ戻った。

 男子高校生こうきは礼をして、早速フィギュアがあるエリアへ行くため、走っていた。

「よし、よし、よし。あー、あー、あー!」

 ひとゲームをする度、部活動の掛け声のように行けると思ったら、「よし、よし、よし」と三回言う。

 最後には「あー」とダメだった分、声が大きくなる。

 その度にゲームセンターで来ているお客様が男子高校生一人だけやっている姿を見た人はこいつ大丈夫か正気かと真顔や苦笑いを浮かべている。

 夜倉もこいつ、大丈夫かと思いながらも、仕事を続けた。

 数時間後、仕事が終わり、帰り支度をして鞄を肩に背負い、帰ろうとした時、近くに葉っぱが落ちていた。

「…葉っぱ?」

 夜倉は葉っぱを拾い、葉っぱを見つめる。

 お前はどこにいても傷つきそうにないよね。

 葉っぱは強くてたくましい。

「それ…ってなんだか知ってます?」

 夜倉が葉っぱを持っていると、知っている声がした。