「これだ」

そう言いながら、デスクの上に写真を置いた。

それを見ると、黒全身コーデだった。

黒帽子を被っていて、黒一色だった。

だが、一つ違う。

前髪が隠れていて、確かに私の体格そっくりだが、心愛は前髪が右側に揃えている。

写真では前髪がぱっつんだ。

その違いだ。

コンコン コンコン コンコン

ドアの扉の音がした。

「なんだ」

 警察さんは低い声で入ってきた女性警察官に言い放つ。

「お電話した方がお見えになってます」

 女性警察官が無表情で警察さんにお伝えしていた。

「分かった」

 そう言って、ドアの扉が閉まりそうになった時、果揶が乗り込んできた。

「心愛!!大丈夫か?」

「果揶」

「心愛、え? なんかやらかしたの?」

それに続いて、奈津もやってきた。

「奈津!」

心愛は奈津もいることに驚いた。

まさか、二人とも来るとは思わなかった。

この時間だし、仕事中だと思ったのに。

「いや、してないのよ」

心愛は二人を見て、肩の荷が下りたように顎に手を置いて、肘をついた。

「この警察官が勘違いしてんのよ。見てみ、この写真」

二人は取調室にズンズンと足を踏み出して、デスクの上にある写真を見る。

果揶は写真を手にしてから「どれ」と言い、奈津もつられて、「どれどれ」と声を出して一緒に見る。