果揶は口を大きく開けた。

「そこ笑うとこ。え? 奈津も?」

「笑うわよ、心愛。笑わない奴いる? アハハ」

 奈津は腹を抱えて笑っていた。

「だったら奈津はどうしてんの。2号さんと会ったとき」

「ああ。2号さんと会った時ね。うーん、無視かな。あっ、いたみたいな感覚」

 奈津は口元に手を置いてから、声を発した。

「無視?! 私よりひどくない」

 心愛は奈津に反論する。

「いやいや、そうなるでしょ。知らない人からしたら、誰こいつみたいになるし。本当にこの人か分からないじゃん」

「いやいやいや……それは確定だよ。前にも言ったじゃん。ほら、ブログの閲覧履歴開いてみてよ。奈津見たことないの」

 果揶は奈津に引き出しにあったノートパソコンを持ち出して、見せる。

「え? 本当だー。ちゃんと写真まで載せてるし。ここうちらよく使う駅だし。確定やん」

「だから言ったでしょ。心愛もこれ見たことあるでしょ」

 果揶は心愛に聞く。

「うん、ある。奈津知らなかったの、前も話したやん」

「だけど、なんかピンと来なくてさ。あら、ごめんなさいね」

「そこでおしとやかさ見せなくていいわ」

 心愛は携帯を弄りながら、奈津に突っ込む。