自炊にこだわるのは節約もあるが、食材たちが生き生きとしているように見える。

 会話とかはできないけど、生かしてくれてありがとうと言われているようでこちらが嬉しくなる。

 野菜だった食材たちが切られて、人間に食べられることは嬉しくないと思うが、嬉しく感じていると果揶は思っている。

 食材たちはなんと心の中で言っているかは分からないが……

「あっ、こないだ久々に2号さん見たよ」

 心愛は思い出したように声を出して、二人に問いかけていた。

「どこで?」

 果揶は手を洗い、心愛の傍に寄ってきた。

「そんな食い気味にくる?」

「だって、私だけ会ってないんだもん。奈津と心愛は会ったでしょ」

「確かにね。果揶だけ会ってないよね。私も見たよ、さっき」

 奈津はパジャマ姿で今日着ていた着物をさっきほど洗濯したので物干しに干していた。

「なんで二人とも見たの」

「なんでって、駅で会うよ、よく。話しかけないけどね。あっ、2号さんだ。いつもありがとうございますと会ったら、合掌してるよ」

 心愛は駅の中で会って、合掌している姿を想像するだけで笑いが込み上げてきた。

「合掌って……ヒヒヒヒッ」