フリーライターである果揶は外食よりも自炊派だ。
毎週土曜日に作ったものをタッパーに入れて、冷凍庫に入れている。
奈津や心愛はそれに便乗して、たまに冷蔵庫にある余った総菜を食べている時もある。
それに対して、果揶は怒ることもなく、あっそと返す。
あまり怒ることはなく、モットーは面白いことをすることを掲げている。
「果揶はさ、本当節約とジーパン好きだよね」
唐突に奈津はきなこ棒を口にしたまま、ソファーの上からキッチンにいる果揶をのぞき込む。
「急にどうした。前からじゃん」
果揶は奈津のことをチラッと見てから、茹でたブロッコリーをタッパーに入れていく。
一つひとつ入れる食材には優しく話しかける。
二人には内緒だが、感謝を伝えて入れていくのが果揶にとって幸せな時間だ。
「なんか改めて思うとね。そう思わない? 心愛」
奈津はソファーの下にいた心愛に話しかける。
「今更じゃない。うちらが出会った頃にはもうそのスタイルだったし。今更感強いよ」
「そうかな? 変わらないものと変わっているものはある気がするんだよね。果揶を見るとそう思う」
奈津はたまに確信をつくような言い方をしてくる。
それが当たっているので何とも言えない。
「例えば?」
果揶は奈津に聞く。
「小物。前は小ぶりな物が多かったけど、骨格に合わせた大ぶりのモノになったとかかな」
果揶は奈津の言うことに肩を上げた。
当たっているから。
細かいところまでよく見てる。
さすがだ。
「そうかもね」
果揶はタッパーに食材を入れてから、よしと気合をいれた。
冷凍庫にしまったタッパーたちを見て、手を振る。