「おしとやかな奈津が見れないし、騒がしい奈津がいないのも嫌だからね」

 心愛は携帯を見ながら、さらっと口にする。

「心愛~。やっぱり優しいのよね。こういう時は」

「はぁ? 違うから」

「こういう時は優しいのよね、心愛ちゃんは」

 奈津は心愛の髪をわしゃわしゃとした。

 「違います。たまたまです」

 心愛は反発して、犬のように威嚇をしていた。

「はいはい。二人ともこれを食べて。新しくあのスーパーにあったプリン入手しました。ド定番ですが、このプリンです」

 果揶はジャジャンとギターを鳴らす素振りをして、プリン三個を二人に渡す。

「これ、美味しいよね。グリコのプッチンプリン。美味しいのプラスにこのプッチンする感覚がいいんだよね」

 奈津は果揶からもらったプリンを手にして、キッチンから小さい皿を取り出して、プチンと開ける音がした。

 「分かる。この音がいいんだよね。いい!」

 心愛も同じく立ち上がり、奈津が取り出した皿にプチンとプリンをのせた。

 「私もやろう。お皿ちょうだい」

 奈津ははいと皿を渡して、果揶はプリンを取り出してプチッと開けて、くわぁーと何語か分からないが頭を抱えて叫んでいた。