怖さはあるが、言わないと分からないことがあると思う。
「奈津さんってそういうところが駄目だよね」
そう言ってから年配女性職員は帰っていた。
奈津も自宅に帰り、二人のグループラインが入っていたので果揶の家に寄った。
「みんな~」
「どうした? 奈津」
「すごい顔してるけど」
心愛は携帯でゲームをしていたのか胡坐をかいて、真剣な眼差しでやっていた。
「今日私頑張った。好きなことを仕事にしているのに人間関係で困ってやめたくないけど、もう耐えられなくてさ」
奈津はカーペットに縮こまって、体育すわりをしていた。
前々から年配女性職員ことを話していたので、聞かれなくても二人は分かってくれた。
「奈津。それでいいんだよ。その職員が性格が変なだけだし、奈津は何も間違ってない。大丈夫。だいじょうぶ」
果揶は奈津の髪を優しく撫でて、微笑んだ。
二人に今日の出来事を話をした。
「そうだ。その年配職員だっけ。前田拳太郎を悪く言うのはダメだ。前田拳太郎のこと分からんけど、落ち込んでいる奈津を見るのはそれ以上無理だ」
心愛は奈津の方を瞬きもせずに早口で言う。
「心愛。心愛がそんなこと言うのめずらしいよね」