お客も減り、お昼を過ぎたころ、休憩に入った。

職場の中にある休憩室で一人でゆっくりとコンビニ弁当を口を大きく開けて割り箸を右手で持ってパクパクと食べていた。

扉が開き、「お疲れ様です」と誰か分からない職員に言葉を返す。

「お疲れ様です」

入り口から見たら右側の方に座っていたので、顔を見ると苦手な年配女性職員だった。
　
　げぇ、嫌だな。早く食べよう。

　そう思って、頬張っていると年配女性職員は話しかけてきた。

「ねぇ、奈津さん。これさ、知ってる？」

　携帯画面を私に見せてきた。

　それは俳優さんだった。

　今人気が出てる前田拳太郎だった。

　私が知ったのはたまたま流れてきたTverの広告で雰囲気がよさそうだったのでドラマ「君とゆきて咲く～新選組青春録～」を鑑賞して、ドハマりした。

あの切なさと儚さのマッチングに大作～と夜中叫んでしまうほどだった。

とてもそのような話はできないので、知らないていで話を始める。

「へぇ、俳優さんですか？」

「そうみたいなのよ。この子すごいのよ。売れてきて、いやーこの人見たときすごいなと思った。でも、私はやっぱり嫌なんだよな」

「なにが嫌なんですか？」

「え？決まってるじゃない。可愛いところよ」