「ぼぼ、僕……僕……を、上城さんが……」
「ほんと。好きだよ」
「ユメミタイ……ウレシイ……」
「そうか、良かった」
絶対好きなんだろう確信はあるけど、恋愛感情の知識なさ過ぎて、もしも拒絶されたらどうしようって不安もあったから、太田のカタコトの返事を聞いて、ホッとした。
つま先立ちだけのせいじゃない、足の震えはましになった。その代わり緊張溶けて全身の力が抜けてしゃがみこみたい。
「僕も、好きになるようにがんばる」
「ッ、ククク」
予想はしてたけど、脱力を促す太田の正直な言葉に、堪えきれず笑いが止まらない。そうだ、まだスタートしてなかった。
「ああ、頑張ってくれよ。イデデデ」
急に背骨折れる力で抱き締められた。太田の全身の指令がバグってる。よしよし、とキスした冷たいほっぺを撫でた。
「太田が好きになってくれて、両思いになったら、間接じゃなく、ほっぺでもなく……ちゃんとキスしような。
?! ちょ、太田!?」
俺が耳で囁いた途端、 バターン! とすごい音を立てて太田が倒れた。
「太田! 太田?」
気絶したー!
――俺の人生初めての恋と告白は、とんでもない幕開け。
今日初めて話を聞いて変わり者だと察知し、距離を置こうと思った叔父さんに、太田の携帯を介して助けを請う羽目になり。即日初対面することになった……だなんて超展開誰が予想出来る?
なあ。太田。
お前に出会ってから、俺、毎日生きてんの実感してるよ。
春をもう一度やり直して、よかった。
ーおしまいー