4月。
桜の花びらが舞うこの季節。
まだ幼さを残した新入生が期待に胸を躍らせ、正門を潜るその姿を教室の窓から眺めた。

「藍くん何見てんの?」
「んー?」

1年前の僕もこんなんだったのだろうか。
なんてぼんやりとそんなことを考える。


僕も2年生になった。
2年生になったからって特別何かが変わるわけじゃない。仲が良い奴も同じクラスだし、先生だって見知った顔。

……ただ一つ。
あることを除いては。



「藍、今日学校終わったらファミレス行かね?」

ガッと、後ろから僕の肩を抱いてきたのは1番仲の良い大輝(だいき)


「んーどうしよっかなぁ〜」

正直めんどい。
別に予定があるわけじゃ無いけど、いつも行くファミレスは僕の家から遠いからな……。


「ミキちゃんも来るって言ってたよ」
「マジ?じゃあ行こっかな」
「決まり〜」

なんて言って笑い出す大輝に、周りにいた奴らも一緒になって笑った。もう僕がミキちゃんに好意を寄せてるのはみんなにバレてる。だから今更隠す程でもない。みんな協力的だしな。


「大輝ってほんと藍くんの扱い上手いよな」
「単純だから」
「うるせーよ」