♢
ギィと、鉄が擦れるような音を出しながらドアが開いた。
「お疲れ様でしたー……ってこんな所で何してんの?」
「ほんと何してるんだろうね、僕」
ハハッと乾いた笑みを溢す。
裏口に居れば夏目に会えるかなって思ってずっと待ってた。
こんなところまで来て夏目になんて言おう……。
「腹減ったからさ、ちょっと付き合って」
「……うん」
夏目の後を付いて行くように少し後ろを歩く。
通り過ぎて行く車のライトが僕達を照らし、2つの影が伸びては消える。
合コンの後、夏目の所に行ったからとっくの昔に陽は落ちている。
「そこのコンビニ寄るけど来る?」
「んー僕は待ってるよ」
「っそ。じゃあ行ってくるわ」
5分もしない内に夏目がコンビニから出てきた。
「何買ったの?」
「チキン。あと帰ってから食うポテチとか」
何か笑いが出た。
僕の事なんか気にしてなくて、好きな事をやる夏目。いつも通りでちょっと安心したよ。
「そこの公園行かね?」
「いいよ」
この時間帯の公園には誰もいなくて、街頭の明かりが無ければ真っ暗だ。明かりも転々としていて良い場所が無い。
だから僕達は、唯一明かりがあって座れそうな場所を求めてブランコに向かった。
「で?ダメだったんだ?」
「……は?」
突然喋り出したかと思えば何、急に。
「ダメだった前提なの?」
「顔見りゃわかる」
「……」
何だよ……。呑気にチキンなんか食ってさ。
心配してんのかしてないのかわかんねーじゃん。
僕はギュッとブランコの鎖を握った。
「良かったな夏目。僕の事、男として見てないって」
「何が?」
「前言ってたじゃん。僕の好きな人がタイプなら遠慮しないって。ミキちゃん夏目の事好きっぽいよ」
「……」
あぁ。違う。何言ってるんだ僕。
こんなの嫌味でしかない。
違う。言いたいのはこんなんじゃない。
「諦めんの?」
「……諦めるもなにも初めから相手にされてなかったし」
「ダサ」
カチンと来た。
「は?何?もっと良い言い方ないわけ?」
くそムカつくんだけど。
何なんだよ。
僕は夏目に会いたかった。夏目なら僕の話聞いてくれるかなって思ったのに。
「ダサいからダサいって言っただけじゃん。ダメなの?」
「ダメに決まってんだろ。こっちはフラれてんだよ。慰めの言葉すら無いわけ?」
「無いな」
「何なんだよお前……」
マジ意味わかんねぇ。
「何なの、お前……お前のせいでもあるんだぞ?あんな事しなかったら……」
「人せいにするなよ」
どこまでも否定するんだな。
いいよ。この際だから全部言ってやる。
僕はブランコから降り、夏目の前に立つ。
「日曜日にお前と会ったせいで変なんだよ!お前、にドキドキする僕がいて……それに、あの時の寂しそうだった顔がずっと頭から離れないんだよ!男なのに変だろ!?そのせいでミキちゃんに何も出来なかったよ、お前の事を思い出して……!」
僕の胸の内を叫んでも、夏目は表情一つ変えない。
僕だけこんなになって馬鹿みたい。
やっぱり僕と夏目は馬が合わないんだ。
初めからそうだった。途中で変わる事はないんだ。
「もういい。帰る」
振り返った瞬間。
パシッと腕を掴まれた。
「な、何なんだよ。離せよ」
「慰めない理由教えてやろうか?」
「は?」
「好きだから。藍の事」
「………は?」
「好きだから慰めたくない」
「はあぁぁぁぁあ!!?」
「うるせぇ。近所迷惑」
夏目が片手で耳を押さえた。
この光景、デジャヴ。珈琲店に行った時こんなやり取りした覚えがある。
夏目が僕の事?
マジで言ってるの??
てか心臓がやべえんだけど!今までで1番早い。
「からかってるだけだろ?」
「俺の告白冗談で終わらせる気?」
「だって僕男だよ?」
「知ってる」
「知ってるって……夏目そっち系の人?」
「偏見。今は多様性の時代だぞ」
……夏目ってたまに大人っぽい発言するよな。
「て事で俺本気だから。覚悟しとけよ」
そう言って、夏目はニヤリと口角を上げたんだ。
ギィと、鉄が擦れるような音を出しながらドアが開いた。
「お疲れ様でしたー……ってこんな所で何してんの?」
「ほんと何してるんだろうね、僕」
ハハッと乾いた笑みを溢す。
裏口に居れば夏目に会えるかなって思ってずっと待ってた。
こんなところまで来て夏目になんて言おう……。
「腹減ったからさ、ちょっと付き合って」
「……うん」
夏目の後を付いて行くように少し後ろを歩く。
通り過ぎて行く車のライトが僕達を照らし、2つの影が伸びては消える。
合コンの後、夏目の所に行ったからとっくの昔に陽は落ちている。
「そこのコンビニ寄るけど来る?」
「んー僕は待ってるよ」
「っそ。じゃあ行ってくるわ」
5分もしない内に夏目がコンビニから出てきた。
「何買ったの?」
「チキン。あと帰ってから食うポテチとか」
何か笑いが出た。
僕の事なんか気にしてなくて、好きな事をやる夏目。いつも通りでちょっと安心したよ。
「そこの公園行かね?」
「いいよ」
この時間帯の公園には誰もいなくて、街頭の明かりが無ければ真っ暗だ。明かりも転々としていて良い場所が無い。
だから僕達は、唯一明かりがあって座れそうな場所を求めてブランコに向かった。
「で?ダメだったんだ?」
「……は?」
突然喋り出したかと思えば何、急に。
「ダメだった前提なの?」
「顔見りゃわかる」
「……」
何だよ……。呑気にチキンなんか食ってさ。
心配してんのかしてないのかわかんねーじゃん。
僕はギュッとブランコの鎖を握った。
「良かったな夏目。僕の事、男として見てないって」
「何が?」
「前言ってたじゃん。僕の好きな人がタイプなら遠慮しないって。ミキちゃん夏目の事好きっぽいよ」
「……」
あぁ。違う。何言ってるんだ僕。
こんなの嫌味でしかない。
違う。言いたいのはこんなんじゃない。
「諦めんの?」
「……諦めるもなにも初めから相手にされてなかったし」
「ダサ」
カチンと来た。
「は?何?もっと良い言い方ないわけ?」
くそムカつくんだけど。
何なんだよ。
僕は夏目に会いたかった。夏目なら僕の話聞いてくれるかなって思ったのに。
「ダサいからダサいって言っただけじゃん。ダメなの?」
「ダメに決まってんだろ。こっちはフラれてんだよ。慰めの言葉すら無いわけ?」
「無いな」
「何なんだよお前……」
マジ意味わかんねぇ。
「何なの、お前……お前のせいでもあるんだぞ?あんな事しなかったら……」
「人せいにするなよ」
どこまでも否定するんだな。
いいよ。この際だから全部言ってやる。
僕はブランコから降り、夏目の前に立つ。
「日曜日にお前と会ったせいで変なんだよ!お前、にドキドキする僕がいて……それに、あの時の寂しそうだった顔がずっと頭から離れないんだよ!男なのに変だろ!?そのせいでミキちゃんに何も出来なかったよ、お前の事を思い出して……!」
僕の胸の内を叫んでも、夏目は表情一つ変えない。
僕だけこんなになって馬鹿みたい。
やっぱり僕と夏目は馬が合わないんだ。
初めからそうだった。途中で変わる事はないんだ。
「もういい。帰る」
振り返った瞬間。
パシッと腕を掴まれた。
「な、何なんだよ。離せよ」
「慰めない理由教えてやろうか?」
「は?」
「好きだから。藍の事」
「………は?」
「好きだから慰めたくない」
「はあぁぁぁぁあ!!?」
「うるせぇ。近所迷惑」
夏目が片手で耳を押さえた。
この光景、デジャヴ。珈琲店に行った時こんなやり取りした覚えがある。
夏目が僕の事?
マジで言ってるの??
てか心臓がやべえんだけど!今までで1番早い。
「からかってるだけだろ?」
「俺の告白冗談で終わらせる気?」
「だって僕男だよ?」
「知ってる」
「知ってるって……夏目そっち系の人?」
「偏見。今は多様性の時代だぞ」
……夏目ってたまに大人っぽい発言するよな。
「て事で俺本気だから。覚悟しとけよ」
そう言って、夏目はニヤリと口角を上げたんだ。