合コン当日。

とあるカラオケの一室にて僕達は集まっていた。


前の曲が終わると、予約していた次の曲が流れ出す。


「はいはぁーい♪次ミキ番〜〜」

そう言って立ち上がったミキちゃんは、マイクを手に取り歌い始める。
今流行りの曲を振り付け有りで歌ってくれるから、もう可愛過ぎて動画を撮りたいくらいだ。

はぁ。何でこんなに可愛いんだ。


ミキちゃんの可愛さに見惚れていたら、隣にいた大輝に、急に肘で突かれる。


「何?」
「藍っていつから夏目と仲良くなったんだ?」

突拍子も無い言葉に僕は目を丸くした。


「何か最近よく一緒にいるよな?」
「……」


これは隠すべきか?
たしかに昔は夏目の事大っ嫌いだったけど今はそうでも無い。あんなに嫌ってたのに急に仲良くなるのって変か?

てか、“仲良くしてる”とか言ったら色々経緯とか聞かれそう。それはそれで面倒だし、夏目の話をするのはなんか嫌だな。
夏目がバイトしてるのみんな知らないっぽいし。


「前に漫画貸してもらったんだ。そっからわりと話すようになった」

嘘は付いてない。その代わりあやふやな返事をした。


「漫画?何の?」
「一時期映画にもなって流行ってた奴」
「はー?情報少なすぎんだろ」
「名前忘れた」


これ以上聞いてほしくなくて、僕は「もういいだろ?」と言って、ミキちゃんの方に向き直した。
大輝のせいで歌が半分終わってんじゃん。最悪。