翌日、私は由紀を誘って料理部主催のクリスマスパーティーに参加した。
 
由紀は文香のレシピで作った鶏肉のオレンジ煮を美味しい、美味しいと言って食べた。文香は由紀に、「オレンジのビタミンCと鶏肉のタンパク質を一緒に取ると、コラーゲンの生成を促して、肉や骨を丈夫にしますよ」と説明を受け、「家に帰って作ります」と言って、レシピを熱心に教えてもらっていた。
 
文香に高橋くんと付き合うことになったと伝えると、文香は「良かったじゃん」と喜んで、「よかったら今日作ったクリスマスケーキを持って行ってあげたら」と提案してくれた。私は作ったケーキの写真を撮って、高橋くんにメッセージを送ったら、『減量中で食べられないです』という文章と一緒に、イラストの亀が大泣きしているスタンプが送られてきた。
 
しょうがないな、と落ち込もうにも、その亀のイラストがあまりにもシュール過ぎて、そちらに気を取られて笑ってしまい、由紀から「急に笑うの怖い、不審者っぽいからやめて」と怒られた。しばらくすると、またすぐにメッセージが届き、『でもやっぱり食べたいので、試合が終わったらまた作ってくれませんか?』とのリクエストだったので、私も由紀の隣で、文香からケーキのレシピを教えてもらった。
 
こんなに幸せでいいのだろうか。
 
そう思ったけれど、今はこの幸せな気分に存分に浸っておこうと思った。
 
二学期の全部を懸けて頑張ってきた。クリスマスの今日くらいは、≪輝く一瞬≫を思う存分、味わっておこう。みんなで食べる、おいしい料理とともに。