四時限目の終わりを告げるチャイムが鳴ると同時に教室に一瞬光が射し、バキバキバキ、という音が聞こえ、二秒後くらいにゴロゴロゴロゴロ、と豪快な雷の音が響き渡った。

みんな、窓の方を見て、「やばぁ」「怖ぁ」などと口にしている。

雨は降っていないけれど、空は分厚い雲に覆われていて、今にも降り出しそうな空模様だ。

私はイライラしている。

雨が降りそうで降らない、中途半端な天気が、昔から無性に嫌いだ。

私の苛立ちは、天候のせいだけではない。二時限目の英語の授業で、やはり私は和訳を当てられて、答えられずに口をつぐんでしまうと、先生から「やる気ないのか」とお叱りを受けてしまった。今朝、田代くんに問い詰められ、徐々に怒りが沸き上がってきてしまい、宿題に手が付けられなくなってしまったのだ。

三時限目、四時限目も、田代くんに言われたことを思い出しては頭に来ていて、授業はほとんど聞かず、上の空で過ごした。雷でかき消された四時限目のチャイムと同時に、私は教科書とノートを机の中にしまって、お弁当を持って席を立とうとした。

ごめん。今日、昼ごはん別のところで食べてくるね。

文香に一言声をかけてから、美術室に向かおうと思った。これ以上、教室にいたくない。

すると、「相馬さん」と呼び止められる声が聞こえた。田代くんだ。

「あ、あの、け、今朝は、ごめん。余計な、ことを言って……」

田代くんの、もたもたとした話し方が最後の一押しだった。

「いい加減にして!どういう神経してるの?なんで私に話かけてくるの?頭おかしいよ!第一、私が誰と関わろうと、田代君には関係ないじゃん!なんであなたにあんなこと言われなきゃいけないの?もう全然、意味わかんないから!二度と私に近寄らないで!」

我慢の限界を超え、思わず怒鳴り声をあげた。

一瞬で、クラス全員の視線を集めた。

しんと静まり返った教室に、「え、何事?」「相馬さん、と、田代?」「なに、どういうこと?」というひそひそ声がそこかしこから聞こえてくる。

最悪だ。今日はもう、全部が上手くいかない日だ。

「早紀?」「相馬さん?」

文香と、なぜか関口くんが、同時に声をかけてきた。

「ごめん」

二人にそう言い残し、私は逃げるようにして、教室の外に飛び出した。