どんなに頑張っても不器用というのはすぐにどうにかなるものじゃない。それを思い知らされた。
それに加えて本番だという意識が頭にちらつき変にプレッシャーを与えるのもあって余計な力が入ってしまう。
この一週間、瀬戸さんとあわせて計100回はミスを連発してしまった。地形作りの線に沿って切るのはもう次の日にはなんとか直ったけど、鉄橋を掛けるために発泡スチロールを削るというときに思いっきり線路の部分も切り取ってしまい、しかも接着不可能にして一枚無駄にしてしまった。
先輩の努力もむなしく捨てることになったことがあり、どうしたもんかと悩んだ。
「でも二人ともよくはなっているんだけどね」
確かに少しずる成長はしているけど、それに技術が追い付いていない。また動画を見てその通りにやろうというイメージトレーニングが逆に先入観になって足を引っ張っている感もある。
「あの、一ついいですか?」
瀬戸さんが失意の中手を挙げた。
「はい」
「その、私達いきなり大会用のレイアウトを作ろうとしていますよね。よくよく考えたらぶっつけ本番です。なので一回本や動画にあるレイアウトを全く同じやり方でやってみたいです。本を見て見ると、私達が作ろうとしている大きさのレイアウトが一週間あればできると書いてあります。なので一回練習として例えばこの本に書かれているを作ってから、本番に臨んでも遅くはないと思います。お金があればの話になりますが」
瀬戸さんも似たようなことを考えていたようだ。特に練習だけど、動画にあるようなことをできるような練習ではなく使い方を学ぶようなことしかしていなかった。それでいきなり作業に入っても失敗するだけだ。失敗の仕方が悪すぎる。
「先生、今使えるお金はどのくらい残ってますか?」
「え?そうね……大体1万5千円よ」
1万5千円……。本に載ってるレイアウトの製作費がいくらかによるな
「瀬戸さん。そのレイアウトはいくらかかってる?」
「……約6万円よ」
「全然足りないじゃん」
四倍近い値段がするんじゃ作れない
「けど、内訳を見て見ると今あるもので十分足ります。スプレーとか、余るものも多いです。なので、改めて用意するのはレイアウトボードと発泡スチロール、線路くらいです。建物は自作の練習で失敗してもそのまま使ってしまえば何とかなります」
話ながら電卓を打って練習用のレイアウトの予算を同時に出していた。
「主にお金を食うのは線路ですね。直線レールはあまりがありますけど、分岐器を新たに買う必要があって、それが一番お金を食います。そのほか安く済ませて……8千円ってところですね」
「8千円か……」
残りの半分。かなり大きい額だ。果たしてするべきなのか?
「先生はやるべきだと思うわ。確かに8千円というのは大きくて迷うところはあると思う。でも二人には成功体験がなくてそれが自信のなさ、そして恐れにつながっているんだと思う。二人ともすごくガチガチになってるように見えるよ。だったら失敗しても大丈夫なもので練習して成功体験を積んでからの方が気持ち的にも楽になって伸び伸びできると思うの」
「だってさ。部長、どうする?」
「……やりましょう」
「……わかったわ」
「どのレイアウトにする?」
「この本のレイアウトでいいと思います。本の方が見えやすいですし」
「ではここにあるレイアウトで必要なものと予算を出しますね」
既にある程度のデータがあるから予算を出すのに5分もかからなかった。
「これでOKです。7千円と千円安く抑えられました」
「ありがとう」
考える間も惜しいから、すぐに部室を飛び出して買い出しに回った。
それに加えて本番だという意識が頭にちらつき変にプレッシャーを与えるのもあって余計な力が入ってしまう。
この一週間、瀬戸さんとあわせて計100回はミスを連発してしまった。地形作りの線に沿って切るのはもう次の日にはなんとか直ったけど、鉄橋を掛けるために発泡スチロールを削るというときに思いっきり線路の部分も切り取ってしまい、しかも接着不可能にして一枚無駄にしてしまった。
先輩の努力もむなしく捨てることになったことがあり、どうしたもんかと悩んだ。
「でも二人ともよくはなっているんだけどね」
確かに少しずる成長はしているけど、それに技術が追い付いていない。また動画を見てその通りにやろうというイメージトレーニングが逆に先入観になって足を引っ張っている感もある。
「あの、一ついいですか?」
瀬戸さんが失意の中手を挙げた。
「はい」
「その、私達いきなり大会用のレイアウトを作ろうとしていますよね。よくよく考えたらぶっつけ本番です。なので一回本や動画にあるレイアウトを全く同じやり方でやってみたいです。本を見て見ると、私達が作ろうとしている大きさのレイアウトが一週間あればできると書いてあります。なので一回練習として例えばこの本に書かれているを作ってから、本番に臨んでも遅くはないと思います。お金があればの話になりますが」
瀬戸さんも似たようなことを考えていたようだ。特に練習だけど、動画にあるようなことをできるような練習ではなく使い方を学ぶようなことしかしていなかった。それでいきなり作業に入っても失敗するだけだ。失敗の仕方が悪すぎる。
「先生、今使えるお金はどのくらい残ってますか?」
「え?そうね……大体1万5千円よ」
1万5千円……。本に載ってるレイアウトの製作費がいくらかによるな
「瀬戸さん。そのレイアウトはいくらかかってる?」
「……約6万円よ」
「全然足りないじゃん」
四倍近い値段がするんじゃ作れない
「けど、内訳を見て見ると今あるもので十分足ります。スプレーとか、余るものも多いです。なので、改めて用意するのはレイアウトボードと発泡スチロール、線路くらいです。建物は自作の練習で失敗してもそのまま使ってしまえば何とかなります」
話ながら電卓を打って練習用のレイアウトの予算を同時に出していた。
「主にお金を食うのは線路ですね。直線レールはあまりがありますけど、分岐器を新たに買う必要があって、それが一番お金を食います。そのほか安く済ませて……8千円ってところですね」
「8千円か……」
残りの半分。かなり大きい額だ。果たしてするべきなのか?
「先生はやるべきだと思うわ。確かに8千円というのは大きくて迷うところはあると思う。でも二人には成功体験がなくてそれが自信のなさ、そして恐れにつながっているんだと思う。二人ともすごくガチガチになってるように見えるよ。だったら失敗しても大丈夫なもので練習して成功体験を積んでからの方が気持ち的にも楽になって伸び伸びできると思うの」
「だってさ。部長、どうする?」
「……やりましょう」
「……わかったわ」
「どのレイアウトにする?」
「この本のレイアウトでいいと思います。本の方が見えやすいですし」
「ではここにあるレイアウトで必要なものと予算を出しますね」
既にある程度のデータがあるから予算を出すのに5分もかからなかった。
「これでOKです。7千円と千円安く抑えられました」
「ありがとう」
考える間も惜しいから、すぐに部室を飛び出して買い出しに回った。